バッテリーについて【ドローン自作講座】

先輩、今日もよろしくお願いします。前回の講座でバッテリーはESCに繋ぐということを教えてもらいました。では、そのバッテリーにはどのようなものがあるのでしょうか?

そうだな~。話の流れでいえばバッテリーの説明をした方がよさそうだね。よし、今回はドローンに使用されるバッテリーについて解説しよう!!

ドローンで使うバッテリーについて

バッテリーには一般的に、ニッケル水素、リチウムフェライト、リチウムポリマーバッテリーがあります。これらのなかで、どれがドローンに向いたバッテリーなのか、またそれはどういった特徴を持つのかについて説明したいと思います。

ドローンの電源となるバッテリーにはリチウムポリマーというタイプが使われます。通称「リポバッテリー」とか、「リポ」などと呼ばれています。

リポバッテリーの特徴

リポバッテリーは、ニッカドやニッケル水素など他のバッテリーよりも軽量コンパクトです。そして、大容量高出力という特徴もあります。

なるほど!!軽くて出力を得られるという特性は空を飛ぶドローンに最適なバッテリーですね。

その通り。比較的小さなサイズで大きな出力を得られから、アクロバット飛行やレース競技ではリポバッテリーが使われているんだよ。

そのほか、どんな特徴がありますか?

メモリー効果が無いから、完全に電池を消費しきらなくとも継ぎ足し充電が可能なんだ。自己放電も殆ど無いんだよ。

バッテリーは寒さに弱いと言われますが、この点はいかがでしょうか?

嬉しいことに冬などの低温時にも安定した電源供給が可能で、パワーダウンが比較的起こりづらいといった利点もあるね!

<リポバッテリーの特徴>
  • 軽量コンパクト
  • 大容量、大出力
  • メモリー効果が無い
  • 自己放電が殆どない
  • 低温に強い

リポバッテリーの構造(セル)

リポバッテリーはセルという単位で構成されます。また、セルをひとまとめにしたものをバッテリーパックと呼びます。1セル、2セル、3セル、4セルのバッテリーが、ドローンに使われることの多いセル数です。

リポバッテリーの電圧

リポバッテリーの各セルは直列で配線されています。そのため、セルの数が多ければ電圧が大きくなります。

ということは・・・セル数の多いバッテリーを使えば、プロペラを回すモーターパワーも大きくなるという理解で大丈夫ですか。

その考え方で問題ないよ。
1セルあたりの電圧は3.7ボルトです。2セルなら2つのセルが直列で繋がれるので7.4ボルト、3セルなら11.1ボルト、4セルなら14.8ボルトになるよ。

  • 1セル:3.7V
  • 2セル:7.4V
  • 3セル:11.1V
  • 4セル:14.8V

バッテリー容量

バッテリーが電気を蓄えることのできる量をバッテリー容量といいます。単位は[mAh]です。

1000mAhのバッテリーなら1時間で1000mA(1A)使えるだけの容量を持つバッテリーということですね。

その通り。ドローンなら250mAhから500mAh位のバッテリーを使うことが多いかな。どんなバッテリーが売られているのか、販売店を少しのぞいてみましょう。Makerfier

充放電許容量(放電レート)

バッテリーが蓄えている電力をどれだけ流すことができるかを「充放電許容量(放電レート)」といいます。単位は[C]でキャパシティーの頭文字です。通常30C、50Cなどバッテリーの仕様に書かれています。

どのような意味を持つのでしょうか?

水道をイメージすると理解しやすいよ!いくら容量の大きなバッテリーでも、電気を流すパイプが細ければ水道の水と同じで”ちょろちょろ”としか流れてくれないんだ。逆にパイプが太いと、いっきに電気を流すことがでる。

だとすれば、電気を流すためのパイプが太いと、それだけモーターの回転加速度が大きくなるということですね!

その理解で正しいよ!ちなみに、1C はバッテリーが1時間に流すことができる電流量だよ。

  • 充放電許容量(放電レート)とはバッテリーが電気をどれだけ流すことができるかを表す指標
  • 単位:[C]  キャパシティ(Capacity)の頭文字
  • 1Cはバッテリーが1 時間で使い切る電流量

放電可能な電流量

バッテリーが放電できる電流は「容量」に「充放電許容量」を乗じて算出します。

例えば、容量1000mAhで50C の能力を持ったバッテリーなら1000×50=50000mAhです。この場合、最大50000mA(50A)まで電力を供給できる能力を持ったバッテリーということになります。

ただし、継続して流し続ける電流の大きさではなく「瞬間的にこれだけ流せる」と理解してください。

  • バッテリーの放電能力 = 容量(mA) × 充放電許容量(C)

バッテリーの充電

バッテリーの充電に際しては充放電許容量を考慮します。充電の基本は1C以下の充電で、これは安全、かつバッテリー寿命を長く保つために必要な考え方です。

500mAhのバッテリーなら1Cは500mAとなるので0.5A以下で充電を行います。この場合、満充電になるまでに1時間かかります。

  • 安全かつ、バッテリー寿命を長くするため[1C]以下の充電を行う

バランス充電

バッテリーパック内の各セルは、それぞれが電池となっていますが各電池は個体差から使用経過とともに電圧がずれ始めます電圧の差が大きくなってくると、いずれかのセルが過充電、または過放電を起こしてしまいます。その結果、個別のセルに偏った負荷がかかりリポバッテリー破損に繋がります。

各セル間の電圧を揃えることはとても大切なんですね。

そうだよ。セル間の電圧を整えることはバッテリー寿命を延ばし、かつ、電力を安定して供給することになるんだ。それと、セル間電圧が崩れてしまうと、パワーが落ち、充電もフルに行えなくなってしまうよ。

バランスコネクタ

2セル以上のリポバッテリーにはバランスコネクタという端子が電源用のコネクタとは別についています。バランスコネクタは各セルのプラスとマイナスのそれぞれの端子に繋がったケーブルがまとめられたものです。例えば2セルならば、計3本のコードが伸びていて、プラスとマイナスと、直列部分からのケーブルがコネクタとしてまとめられています。

バランスコネクタは何のためのものですか?

バランスコネクタと電源供給用コネクタを両方とも充電器につなげて充電するんだ。これをバランス充電と言うんだけど、各セルの電圧を均等にしながら充電できるよ。

  • バランス端子と電源供給用端子を同時に接続、充電の過程で電圧が高くなったセルを放電し、全セルのバランスを取りながら充電するのがバランス充電
  • バランス充電を怠ると、最悪の場合バッテリーが発火し火事になる

バランス充電は必ず行おう!!

バッテリーの過放電

セル毎の電圧は3.7ボルトですが、満充すると電圧は4.2Vになります。そして、バッテリーの使用に従い放電が進み電圧が降下します。

放電が進みセルの電圧が3V以下になると過放電状態となります。過放電はリポバッテリーの性能と寿命を極端に落としてしまいます。更に放電が進み2.6Vまで電圧が低下してしまうとそのバッテリーは機能しなくなってしまいます。

過放電を防止するためには、フライトコントローラー(BetaFlight )にて、フェールセーフ設定を行うことで降圧時のアラートをだしてくれます。ベータフライトの設定に関しては、別の記事にて掲載する予定です。

バッテリーの過充電

バッテリーの過充電にも注意しなければなりません。リポバッテリーは1セルあたり最大4.2ボルトという上限があります。4.2Vを超えて充電するとバッテリーが壊れます。バッテリーの内圧が上昇して過熱し、破裂や発火を引き起こします。

対策としては、過充電防止機能付きの充電器を正しく使用することです。上限電圧である4.2Vに達した時点で充電を止めてくれます(安価な充電器だとセル単位の電圧を読み取らずバッテリーパック全体の電圧だけをみるので、個別のセルが過充電になってしまう恐れがあります)。

  • リポバッテリーの電圧の上限は1 セルあたり4.2V
  • 4.2V を超えて充電すると、バッテリーの内圧が上昇し過熱、破裂、発火につながる
  • 過充電防止機能付きの充電器を正しく使用する

ストレージ充電機能

リポバッテリーを満充電状態で保管した場合、保管場所の気温が上昇するにともない、過充電と同じ状態になります。逆に残量が少ないと過放電状態となりバッテリー性能が低下してしまいます。

リポバッテリーは40%前半の電力残量で保管するのが最適です。ストレージ充電は40%前半の電力に放電、または充電してくれる機能です。リポバッテリーの充電では、ストレージ充電機能が付いている充電器を使いましょう。

それともうひとつ、万が一の発火や爆発などに備え、耐火容器への保管も重要だよ!!

リポバッテリーの寿命

リポバッテリーを正常な方法で使用した場合、100回程度の放電で寿命と考えていいと思います。また充電しても新品時と同じ容量にならなかったり、使い始めるとすぐ電池がカラになるといった場合もバッテリーの寿命です。

充電器にセル単位のメーターがある場合には、各セルの電圧バランスが崩れていないかを確認しましょう。また、見た目でバッテリーパックが膨らんでいたり、バッテリーパックが破損しているときは使用を中止しましょう。

<バッテリー寿命の目安>
  • リポバッテリーは100 回程度の放電で寿命
  • 充電後に容量が戻らない
  • 電池がすぐに空になる
  • バッテリーパックが膨らんできた
  • バッテリーパックの破損

バッテリーの廃棄

バッテリーを廃棄するときには完全放電する必要があります。放電機能のある充電器なら対象のバッテリーを0%まで放電させます。次にバケツに水を入れ、1リットルにつき50グラムの食塩を溶かします。その中にバッテリーを3日程度漬けておきましょう。

また、放電後のバッテリー廃棄は自治体により方法が異なりますので、お住まいの地域での正しいやり方に従いましょう。

リポバッテリー取り扱いについてのまとめ

今回もためになるお話し、ありがとうございました。リポバッテリーについては、取り扱いに注意を払う必要があるのですね。

リポバッテリーは使い方を誤ると火災の原因となります。バッテリーの発火や爆発事故の多くは、充電器の誤った設定によることが殆どです。バッテリ取り扱いポイントをまとめるのでしっかり守り、楽しく安全にドローンを楽しもう。

  • 1C 以下で充電
  • 1セル当たりの上限電圧4.2Vに収まるように充電
  • バランス充電を行いセル間電圧は0.1V 以内に揃える
  • 保管する際はストレージ充電を行い容量の40%程度に放充電する
  • 満充電での保管は非常に危険
  • 過充電、過放電しない
  • 保管時には耐火BOX などを利用する
  • リポバッテリーが膨らみ変形している場合には使用しない
  • バッテリーが高熱を持ち65 度になった場合には使用を中止する
  • バッテリーが過熱している状態では充電しない
  • バッテリーの分解はしない
  • バッテリーをショートさせてしまったときは使用を取りやめる
  • バッテリーを火中に投じない
  • バッテリーへの衝撃を避ける

動画サイトもあります。

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ドローン自作に関することは、「ドローン製作 ベータフライト設定 完全ガイド」でも詳しく解説しています!

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