ビットコインは2009年に最初の暗号資産として誕生して以来、長い間暗号市場の圧倒的なリーダーの地位を保っています。
そしてビットコインドミナンスは長らく90%以上を維持していました。しかし、2017年頃からさまざまなアルトコインが登場し、特にイーサリアム(ETH)の台頭やDeFi(分散型金融)プロジェクトの発展により、ビットコインドミナンスは徐々に低下しました。
この記事を読むことで、ビットコインドミナンス(BTC.D)を理解することができ、更には今後のチャート分析に役立てる指針を持つことができるようになります。
ビットコインドミナンスとは?仮想通貨市場での役割と影響
ビットコインドミナンス(BTC.D)は仮想通貨(暗号資産)市場全体におけるビットコイン(BTC)の市場シェアを示す指標です。ビットコインが市場全体のどれくらいの価値を占めているかを示します。
ビットコインドミナンスは、以下の式で計算されます。
この指標は暗号資産市場におけるビットコインの重要性や他のアルトコイン(BTC以外の暗号資産)との相対的な立ち位置を把握するために使用されます。
ビットコインドミナンスの重要性と市場への影響
ビットコインドミナンスは暗号資産市場のトレンドを読むための重要な指標です。ビットコインドミナンスが上昇している場合、以下のような傾向が見られます。
- ビットコインが他のアルトコインに比べて強気:投資家がビットコインに対してより多くの信頼を寄せ、資金がBTCに集中している可能性があります
- アルトコイン市場が弱気:多くのアルトコインがビットコインに比べて売られている、または価格が下落している状況です
- アルトコイン上昇を示唆 : ビットコインを主軸通貨として、アルトコインは少し遅れて価格が連動するという性質があります
一方、ビットコインドミナンスが低下している場合、以下のような状況が考えられます。
- アルトコインが強気:特定のアルトコイン(例えば、イーサリアムやDeFiトークンなど)がビットコインに対して市場の関心を集め、価格が上昇していることを示します
- 投資家のリスク許容度が高まっている:市場参加者がビットコインのような比較的安定した資産ではなく、リスクの高いアルトコインへの投資を選んでいる可能性があります
- アルトコイン下落を示唆 : ビットコインに連動して、近い将来アルトコイン相場が下落する可能性があります
ビットコインドミナンスの分析方法
BTC.Dはトレーダーや投資家にとって市場のサイクルを理解するための重要なツールとなります。例えば、以下のようなシグナルがあります。
- ビットコインドミナンスの上昇:一般的には、市場全体がリスクを避ける動きとなり、ビットコインが「デジタルゴールド」としての役割を強める時期を示すことが多いです
- ビットコインドミナンスの下降:アルトコインの成長が期待される時期や、ビットコインから資金が流出してアルトコインに流れている兆候です
またチャート分析では、BTC.Dのサポートラインやレジスタンスラインを確認し、ブレイクアウト(価格の急上昇または急落)を予測することができます。これにより、投資判断の参考とすることができます。
例2:ビットコインドミナンスで利確時期を探る
このグラフはBTC.Dをローソク足で表したものです。
例えば2020年から始まったバブル相場では2021年4月12日と11月8日に価格の最高値を迎えています。このときBTC.Dは実際のビットコイン価格に先行してピークを示していて、その後実際の価格が追随していることが伺われます。
例2:ビットコインドミナンスで現在位置を見る
このグラフはローソク足がビットコイン価格の変化、黄色の線がビットコインドミナンスの変化を表しています。
例1を踏まえて例2のグラフを見た場合、まだビットコイン価格がピークアウトする時期ではないことが伺われます。
ビットコインドミナンスの限界
ビットコインドミナンスは有益な指標ですが限界も存在します。
市場全体のシェアを示すものの、必ずしも価格の上昇や下降に直結するわけではありません。また、時価総額のみに基づくため取引量やプロジェクトの実用性を反映しないことに留意が必要です。
例えば、あるアルトコインが時価総額で上昇しても、実際の取引が少なければビットコインドミナンスが低下するだけで、そのコインの価値が本質的に上がっているとは限りません。
ビットコインドミナンス(BTC.D)はビットコインが暗号資産市場全体で占める割合を示す重要な指標です。
この指標はビットコインとアルトコインの相対的な強さや市場のトレンドを読む手助けとなります。
ビットコインドミナンスの変動を理解することで投資家は市場のリスクに対する感度を高め、より効果的な投資判断を行うことが可能でが、限界があることも理解し他の指標と併用しつつ利用することが重要となります。
コメント