ゲームと仮想通貨、ブロックチェーンの未来

2020年バブル相場のときはブロックチェーンゲームのカテゴリーが盛り上がりを見せましたが、この記事を執筆している2024年ではそれほど注目されなくなっています。

これはブロックチェーン上でどのようにゲームを表現していくのかということについて、まだまだ壁があり従来からのゲーム市場への訴求力が低い状態にあるからだとと思われます。

冒頭からこのようなことを書くのもおかしな話かもしれませんが、しかしながらゲームを取り巻くマーケット環境が衰退するとは考えずらく、未来に向けてより一層盛り上がりを見せていくだろうということは誰もが認識しているはずです。

そのような訳で、いずれ必ず来るWeb3ゲームの時代に向げ、現状のゲームと仮想通貨に関する備忘録として本記事を残しておきたいと思います。

そうはいいつつも、近年ゲーム業界における技術革新は驚異的な速度で進んでおり、その中でも特に注目を集めているのが仮想通貨とブロックチェーン技術です。

この2つの要素は、ゲームのプレイ方法や経済圏に大きな影響を与えつつあります。仮想通貨とブロックチェーンがゲーム業界に与える影響について解説します。

仮想通貨とゲーム経済

オンラインゲームにおける経済は、従来の「ゲーム内通貨」と「現実の法定通貨」によって支えられてきました。

しかし、仮想通貨が登場したことで、ゲーム内経済が一変しています。

たとえば、ビットコイン（Bitcoin）やイーサリアム（Ethereum）などの仮想通貨を使って、プレイヤーがゲーム内でアイテムやキャラクターを売買できるようになりました。

これにより、ゲームの世界が閉じられたものから、現実世界とシームレスにつながった経済圏へと進化しています。

特にゲーム内で稼いだ仮想通貨を現実世界のサービスや商品と交換できるプレイ・トゥ・アーン（Play-to-Earn）モデルが注目を浴びています。

代表的な例として、Axie Infinityのようなゲームが挙げられ、プレイヤーはゲームをプレイしながら仮想通貨を稼ぎ、それを現実世界で利用できるのです。

ブロックチェーンとゲームの透明性

ブロックチェーン技術はデジタル資産の所有権や取引の透明性を高めるために、ゲーム業界でますます重要な役割を果たしています。

ブロックチェーンはすべての取引を分散型台帳に記録し、改ざんされることなくデータが保持される仕組みです。これにより、ゲーム内アイテムの所有権や取引がより信頼できるものとなります。

従来、ゲーム内で購入したアイテムやスキンは、そのゲームの運営会社に依存していました。

しかし、ブロックチェーンを利用することでNFT（Non-Fungible Token）として発行されたアイテムの所有権はプレイヤー自身が持つことになります。

これにより、ゲーム内アイテムの価値が外部マーケットでも反映され、プレイヤーがより自由に取引を行えるようになります。

NFTの登場とデジタル資産の価値

NFTの登場はゲームにおけるデジタル資産の概念を大きく変えました。

NFTはブロックチェーン上で発行されるデジタルアイテムで、唯一無二の存在を証明するものです。

ゲーム内で獲得したアイテムやキャラクターをNFT化することで、プレイヤーはそのアイテムの真の所有者となり、ゲーム外でも取引やコレクションが可能になります。

例えば、人気の高いスキンやレアな武器、特別なキャラクターなどがNFTとして発行されれば、その価値はゲームの枠を超えて、外部のマーケットでも取引可能になります。

これにより、プレイヤーがゲーム内で得た成果が現実世界の資産として扱われる時代が到来しています。

主なゲーム関連仮想通貨

ゲーム関連の仮想通貨は特定のゲーム内で使用されたり、ゲーム業界に特化して設計された仮想通貨のことを指します。

これらの仮想通貨はゲーム内アイテムの購入やキャラクターの取引、プレイ時間やスキルに基づいて報酬を得る仕組みなどに活用されており、従来のゲーム内通貨とは異なり、実際のブロックチェーン技術を活用して外部取引が可能です。

Immutable(IMX)

Immutable（IMX）は特にゲーム業界に焦点を当てたブロックチェーンプロジェクトで、NFT（非代替性トークン）の取引とゲームのエコシステムをサポートするために設計された仮想通貨です。

ImmutableはEthereum（イーサリアム）を基盤としながら、スケーラビリティ、低手数料、迅速なトランザクション処理を提供することで、ゲームの開発者やプレイヤーにとって有利な環境を提供します。

以下に、IMXがどのようにゲームカテゴリーに貢献しているかを解説します。

Layer 2 ソリューションによる高速で低コストな取引

ImmutableはイーサリアムのLayer 2（L2）ソリューションであるImmutable Xを開発しました。

これにより、ゲーム内でのアイテム取引やNFTの発行に伴うガス代（取引手数料）をほぼ無料にし、1秒間に約9,000件のトランザクション処理が可能になります。

プレイヤーや開発者がブロックチェーンゲームでの取引をスムーズに行えるようになりました。

NFTの所有権とプレイヤー経済

MXはNFT技術を利用してゲーム内アイテムやキャラクターなどをデジタル所有物として扱うことができるようにしています。

プレイヤーは自分がゲーム内で獲得したアイテムやキャラクターをNFTとして所有し、Immutableのプラットフォームで取引したり、他のゲームでも使用できる可能性があります。

プレイヤーはゲーム内で実際に経済的価値を生み出すことができるようになり、ゲームを単なる娯楽から収益源に変えることが可能です。

環境に優しいブロックチェーン

多くのブロックチェーンゲームプラットフォームは、そのエネルギー消費の高さが課題となっています。

しかし、Immutable Xはエネルギー効率の高いZKロールアップ技術を採用しており、カーボンニュートラルなトランザクションを実現しています。

これにより、環境への負荷を最小限に抑えながら、ゲーム開発者やプレイヤーにブロックチェーン技術の恩恵を提供します。

ゲーム開発者へのサポート

mmutableはゲーム開発者向けにさまざまなツールとインフラを提供しています。

例えば、簡単にNFTをゲーム内に統合できるAPIや開発環境を提供しており、開発者は迅速にブロックチェーン機能を自分たちのゲームに追加できます。

ブロックチェーン技術に詳しくないゲーム開発者でも、容易にNFTやIMXをゲームに組み込むことが可能です。

エコシステムの成長

Immutableはさまざまなパートナーシップを通じてゲームのエコシステムを拡大しています。

既に成功しているゲームタイトルや、新たなプロジェクトがImmutable Xを利用しており、これによりIMXの価値と利用ケースが拡大し続けています。

特に、Gods UnchainedやGuild of Guardiansなど、人気の高いブロックチェーンゲームがImmutable Xを活用していることは、IMXのゲームカテゴリーにおける重要な位置づけを強調しています。

IMXトークンの主な機能と用途

IMXトークンはImmutable（IMX）エコシステムの中心的な仮想通貨であり、特にImmutable Xプラットフォーム上でさまざまな用途に使用されます。

Immutable XはイーサリアムのLayer 2ソリューションとして設計されたプラットフォームで、NFTの取引やゲーム内アイテムの管理に特化しています。

IMXトークンはエコシステム内での取引や手数料の支払い、ステーキング、ガバナンスにおいて重要な役割を果たします。

IMXトークンの特徴

• スケーラビリティ: Immutable XはイーサリアムのLayer 2ソリューションを採用しているため、高速な取引処理と低コストの手数料を提供します。これにより、ゲーム内アイテムの取引がスムーズかつ手頃な価格で行われます。
• カーボンニュートラル: Immutable XはZKロールアップ技術を使用しており、カーボンニュートラルなエコシステムを実現しています。環境への影響を最小限に抑えた上で、IMXトークンの利用が可能です。
• ゲーム特化: IMXトークンは、特にNFTを利用したゲームの分野で強力なユースケースを持っています。ゲーム内経済を支えるだけでなく、プレイヤーがリアルな経済価値を得るための基盤として機能しています。

IMXトークンの主な機能と用途

1. 取引手数料の支払い：Immutable Xプラットフォーム上でのNFTの購入や販売などの取引において、ユーザーはIMXトークンを使って手数料を支払うことができます。取引手数料は、他の多くのブロックチェーンプラットフォームに比べて非常に低く設定されており、これがIMXの魅力の一つとなっています。

2. ステーキング：IMXトークンを保有しているユーザーは、トークンをステーキング（預け入れ）することで、報酬を得ることができます。ステーキングは、プラットフォームのセキュリティや運営に貢献する行為であり、報酬として追加のIMXトークンを受け取ることができる仕組みです。ステーキングを行うことで、ユーザーはIMXの長期的な成長に貢献しつつ、インセンティブを得ることができます。

3. ガバナンス：IMXトークンは、Immutable Xのガバナンスにも使用されます。IMXトークンを保有しているユーザーは、プラットフォームのアップグレードや方針に関する提案に投票する権利を持ちます。これにより、コミュニティ主導でプラットフォームの方向性を決定する仕組みが整備されています。ユーザーが積極的にガバナンスに参加することで、プラットフォームがより良い形で進化することを目指しています。

4. エコシステム内での報酬：Immutable Xのエコシステムでは、ゲーム内でのアクティビティや貢献に対してIMXトークンが報酬として付与されることがあります。例えば、NFTを取引したり、プラットフォーム上でアクティブに活動することで、追加のIMXトークンを獲得することができます。これにより、IMXトークンはプレイヤーや開発者にとって直接的なインセンティブとなり、エコシステム全体の活性化につながっています。

5. ゲーム内アイテムやNFTの購入：IMXトークンは、Immutable X上で発行されたNFTやゲーム内アイテムの購入にも利用されます。これにより、ユーザーはIMXを使ってゲーム内の資産を直接取引でき、トークンの実際の価値を感じることができます。Immutable Xは、複数のゲームと連携しており、IMXトークンを利用してさまざまなゲームタイトルでアイテムやキャラクターを取得することができます。

Axie Infinity Shards（AXS）

• • Axie Infinityは、プレイヤーが「Axie」と呼ばれるデジタルペットを育成・バトルし、仮想通貨を稼ぐ「プレイ・トゥ・アーン（Play-to-Earn）」ゲームの代表例です。
  • AXSはこのゲームのガバナンストークンで、プレイヤーはゲーム内アイテムやキャラクターをAXSで取引できるほか、ステーキングやゲーム内投票などにも使用できます。

Smooth Love Potion（SLP）

• • • こちらもAxie Infinity内で使われる通貨で、SLPはプレイヤーがゲームをプレイして稼ぎ、Axieを育成するために使います。SLPはゲーム内アイテムに限らず、仮想通貨取引所で他の仮想通貨や法定通貨に交換することも可能です。

Decentraland（MANA）

• • Decentralandは、仮想空間内でプレイヤーが土地やアイテムを購入し、独自の世界を構築するメタバースプラットフォームです。MANAはDecentraland内の主要通貨で、土地や建物、キャラクターのスキンや装飾など、さまざまなアイテムの購入に使われます。
  • MANAは他の仮想通貨と同様に取引所で売買でき、投資対象としても注目されています。

The Sandbox（SAND）

• • The Sandboxもメタバースプラットフォームで、ユーザーがゲームや仮想空間を構築・運営できるプロジェクトです。SANDはゲーム内で土地やアイテムの購入、キャラクターの育成、ゲーム作成ツールの利用に使われます。
  • SANDトークンを保有することで、投票権を得たり、プロジェクトに関わる意思決定に参加することも可能です。

Enjin Coin（ENJ）

• • Enjinは、ゲーム開発者が仮想通貨を活用したアイテムをゲーム内に導入できるプラットフォームで、ENJはそのエコシステムの中核となる通貨です。ENJはゲーム内アイテムに裏付けられたトークンの価値を担保し、アイテムの取引や所有権の保証に使用されます。
  • ENJは、アイテムのNFT化に特化しており、ゲーム内で使用される武器や防具、スキンなどをNFTとして売買できます。

Gala Games（GALA）

• • Gala Gamesは、プレイヤーがゲーム内で仮想通貨を稼ぎつつ、自分で所有できるアイテムやキャラクターをNFTとして保有できるプラットフォームです。GALAはそのネイティブトークンで、ゲーム内でアイテムを購入したり、投票権として使用されます。
  • また、GALAは分散型のゲームエコシステムを目指しており、プレイヤーに権限を与える仕組みが特徴です。

ゲーム関連仮想通貨の魅力

プレイ・トゥ・アーン（Play-to-Earn）モデル

ゲームを単に楽しむだけでなく、実際に報酬として仮想通貨を稼ぐことができる点が最大の魅力です。プレイヤーはゲーム内でスキルを磨き、アイテムやキャラクターを取引して利益を得ることが可能です。

アイテムの真の所有権

ブロックチェーン技術によって、ゲーム内で得たアイテムやキャラクターはNFTとして所有権が保証されます。従来のゲームでは、運営会社がサービスを終了するとアイテムが消失することがありましたが、ブロックチェーンゲームではその心配がありません。

外部取引が可能

仮想通貨やNFTを使って、ゲーム内外での取引が可能です。プレイヤーは自分がゲーム内で得た資産を他の仮想通貨と交換したり、現実の通貨に変換することもできます。

課題とリスク

ゲーム関連の仮想通貨には多くの可能性がありますが、同時にいくつかの課題もあります。

価格変動のリスク

仮想通貨の価格は非常に不安定であるため、ゲーム内での通貨の価値が急激に変動する可能性があります。これにより、ゲーム内経済が不安定になることが考えられます。

規制の不透明さ

仮想通貨に関する法的な規制は各国で異なっており、今後の規制強化や変更によりゲーム業界に影響を与える可能性があります。

技術的なハードル

仮想通貨やブロックチェーンの技術は、まだ一般のゲーマーにとって理解しにくい面があり、アクセスするための学習や技術的知識が必要となる場合があります。

課題と今後の展望

仮想通貨とブロックチェーン技術がゲーム業界にもたらすメリットは大きいのですが、同時に課題も存在します。

まず、技術的なハードルが高く、すべてのプレイヤーが簡単にアクセスできるわけではありません。

また、仮想通貨の価格変動が激しいため、ゲーム内経済が不安定になるリスクも考慮する必要があります。

それでもブロックチェーンゲームの可能性は無限大です。従来のゲームが提供できなかった新たな価値を提供し、プレイヤーにとってより魅力的な体験を提供するでしょう。

今後は、技術の進化と共に、より多くのゲームで仮想通貨やNFTが導入され、ゲーム業界全体が大きく変革していくと期待されています。