人間の脳はコンピューターとは異なり、無意識のうちに偏った思考や判断をしてしまうものです。
これは全ての人に当てはまることで、どんなに知能指数が高い人でも、全ての事象を合理的を捉えている訳ではありません。このような脳の動きは、思い込みや認知バイアスなどと呼ばれ、客観的な視点を曇らせています。
先入観や思い込みは思考の偏りや判断の誤りにつながります
人体を構成する各臓器の中でも、脳はエネルギーを最も多く消費する器官です。今でこそ冷蔵を開ければ食べ物が必要なだけ保管されているような世の中になりましたが、進化の過程においては、満足に食を得ることが困難な時代を経てきました。
そのため、脳は消費エネルギーを節約するために、思考をショートカットしてしまう習性を得てしまったのです。目や耳、鼻、皮膚、舌などの感覚器から入ってくる情報を都合よく解釈し、勝手に結論付けてしまうような行為を、脳は無意識のうちに行ってしまいます。
思い込み、先入観の影響
思い込み、先入観といった認知バイアスによる弊害には、以下のような項目が挙げられます。
◇問題を深く理解できない
◇情報を効率的に収集できない
◇情報の質を見極めることができない
◇効果的な解決策を見出せない
◇解決策を適切に検証できない
◇失敗や問題点を改善できない
認知のゆがみを正す10の方法
正しく情報を処理し、的確な判断を下し、合理的に思考できなければ人生の成功は望めません。
脳の習性として先入観や思い込みが多くの人間を支配しているのだとすれば、その思い込みを排除し、合理的な思考さえできれば、他人より一歩先んじて成功へと近づくことが出来るはずです。
今回の記事では認知機能のゆがみを是正し、合理的に思考・判断するための方法をお伝えします。日頃の心掛けや練習は必要となりますが、確実に成果が出ると思います。
1.疑問を深堀しましょう
何か課題に向き合うときに、それを表面的にとらえず深堀する姿勢が大切です。その際に大切なポイントは以下の通りです。
2.視点に偏りはありませんか
課題や問題点の捉え方に偏見がないかを確認します。
◇複数の側面で捉えているか
◇この問題をどのような点から見ているか
◇他に検討すべき視点はないか
◇どのような洞察に基づいた視点なのか
◇この視点の弱点は何か
◇他にどんな点を考慮すべきか
◇この視点の長所と短所は何か
◇背景にある考え方を公平に比較しているか
3.目的に偏見や先入観はありませんか
課題を解決しようとする際、その目的が明確であるかを確認します。
◇達成する目的は何か
◇目的が何を意味しているかを確認できるか
◇周囲の人間関係を考慮しているか(適切な目的か)
◇目的は現実的なのか
◇本当にそれが目的なのか
◇他人に目的を説明できるか
4.収集した情報に歪みがないか確かめましょう
知り得た情報を鵜呑みにしたり、経験だけで判断しないよう、以下に挙げる項目に従って検証します。
◇情報の真実性を確認できるか
◇情報を解釈する別の方法はないか
◇問題に対するデータの正確性、明確度、関連度はどの程度か
5.前提条件をチェックしましょう
疑問の深堀し、目的を明確にとらえ、収集した情報の客観性を確認したら、次は課題解決のための前提条件をチェックしてみましょう。
◇疑問視できる条件がないか
◇どんな前提が結論を導くために必要か
◇新たな視点を導き出すための条件が他にないか
6.全体像を俯瞰しましょう
これまでの流れで目的を達成するための前提条件が揃いました。ここでいったん全体を振り返ってみましょう。その際、特に気を付けたいのは以下の項目です。
◇アイデアや解決策を他人に説明できるか
◇どんな手順で結論を出そうとしているのか
◇他の方法では対応できないのか
7.結論に至るための流れを検証しましょう
さていよいよ最終段階です。結論をどのように導き出せそうか、そのプロセスを検証してみましょう。
◇推論は関連データに裏付けられているか(データと推論との間に異なる部分がないか)
◇推論に一貫性はあるか
◇自分の推論が正確であり、または真実なのかをどのように説明できるか
◇利己性にゆがめられていないか
◇他に検討しべき推論はないか
◇結論に辿り着くための手段は合理的であるか
◇結論を導き出すために他の可能性はないか
8.導き出された結論がどのように作用するか確認しましょう
ある一定の結論が導き出されたとしましょう。でも、まだ終わりではありません。その結論により、どのような影響があるのか考えることが必要です。
◇他人ならどのような結論を導くか
◇異なる選択をした場合、どのような結果になる可能性があるか
◇この結論は長期的にどのような影響を及ぼすか
9.全体をもう一度振り返ってみましょう
最後にもう一度、先入観や偏見など、偏りのある思考が介在していなかったか確認してみましょう。
◇主観的になっていないか
◇特定の理論に執着していないか
◇失敗に対する予防策はあるか
◇バイアスに陥らず、根拠に基づく判断がなされているか
◇どの疑問に対処すべきか
◇疑問を多方面から考えてみたか
◇疑問を考察するために他の方法はないか
◇疑問を細分化できるか
◇この疑問以外の他の疑問は関連しないか
◇正しい答えは1つなのか、複数あるのか
◇何か必要な判断はあるか