これまでの記事で、ドローンを構成する各種パーツの機能や役割について説明してもらいましたが、だんだん理解が深まってきました。そこで、ボチボチ必要なものをそろえ始めたいと思っています。でもパーツ毎にたくさん種類がありすぎるんですよね・・・
そうだね、ここからはドローンを自作してみたいという人向けにパーツを選ぶときの選定ポイントについて説明しよう!
ご近所に専門店があり親切な店員さんがいれば悩むこともないだろうけど、そんな恵まれた環境にいる人は殆どいないだろうしね。。
はい、実店舗が近くにあるわけではないので、インターネットで国内や海外のサイトを見て回っています。でも、たくさんの商品を前にして、さて何を選ぶべきなのかと悩んでしまいますね。
これまでの記事で説明してきた各パーツの役割を振り返りつつ、どんな点に注意して選定をすればいいのか、選択のポイントは何なのかといった視点で話を進めてみましょう。
ドローン自作で必要なパーツ類とは
まずは個々の説明を進める前に、ドローン自作で必要な部品にはどのようなものがあるのか、全体像をざっくりと把握しましょう。ドローンを操作する信号の流れに従い確認するのが理解しやすいので、送信機からスタートしてみます。
ドローンを操作するためには送信機を使います。プロポと呼ばれることもあります。そして、送信機からの操作信号を受け取るための受信機も必要です。
受信機が受け取った信号はフライトコントローラーへと渡されます。フライトコントローラーにはジャイロセンサーなど飛行に必要なセンサー類も搭載されています。送信機からの操作命令やジャイロセンサーからの機体姿勢に関する情報を統合し、フライトコントローラーはどのモーターをどれだけ回転させるべきか計算します。
フライトコントローラーのモーター回転に関する計算結果はESCへと伝えられます。ESCはモーターへ流す電流を制御します。ESCにはモーターが接続されてており、モーターはESCから送られてくる電流により回転します。
そして、モーターの回転はプロペラへと伝わりドローンが飛行します。
また、ドローンにはカメラが搭載されています。操縦者は電波を介して伝わて来たカメラからの映像を、FPVゴーグルというモニターに表示させ、ドローンに乗ったパイロットの視点でドローンを操作します。この仕組みをFPVと呼びます。
FPVに必要となる主なパーツとしては、ドローンに搭載するカメラや、カメラ映像を送信するためのVTX、そしてVTXからの電波を受信するFPVゴーグルです。または小さなモニター画面にドローンから送られてきた映像を映すモニターの場合もあります。
- 送信機 / 受信機 / フレーム / プロペラ / モーター / フライトコントローラー / ESC / バッテリー
- カメラ / VTX / FPV 用ゴーグル
送信機の選定
今後ドローンを何台か所有することになった場合でも、送信機は1台あれば足りるものです。送信機は汎用性があるものを選び、だんだんと知識が身につき応用の幅が広がってきてから追加のものを考えてもいいと思います。
これから本格的にドローンを始めようとする場合、入門用の機体だけではなく、タイプやサイズの異なる機体、自作機など複数のドローンを持つことになるかもしれません。そうしたなかで、機体ごとに送信機を買っていたのでは金額的にも負担が増えますし、操作性の面でも慣れた送信機を扱うといった事ができません。もしかしたら、保管場所にも苦労するかもしれません。
このような理由からドローンを趣味にしている殆どの人は、複数の機体が操作できる汎用性のある送信機を所有しています。ドローンを何機所有していても、自分自身の手に馴染んだ送信機が1台あれば十分に事足ります。値段も1万円以下のものから30万円以上の高価なものまで様々ありますから、しっかりと吟味し汎用性や将来性も考えた送信機を選択することが大切です。
送信機には日本製とか海外製とか、いろいろなものがありますね。
YouTubeなどで海外の動画サイトで紹介されているドローンを知るに従い、日本以外の規格による製品に興味が湧いてくるなんてことはあるよね。
海外製にしても、日本製にしても送信機と受信機がどのような方式の通信を行うかを確認するのが大切なポイントだよ。
ドローン先進国は中国や米国だから海外製の方がいいのかな?
ドローンを自作するのであれば、自分で整合性のあるパーツ同士を選べばいい訳だから、日本製でも海外製でも好きな方を選べばいいと思うよ。自作機以外に既製品のドローンにも興味があるとしたら海外製送信機の方が汎用性はあるかもしれないね。
なるほど・・・
ただし海外製の送信機を所有しても、それに適合する受信機はなにか?とか、ファームウエアの書き換えはどうすればいいの?とか、色々なことを英語で理解しなければならないから、何かと手がかかることが多いともいえるね。
だったら最初の送信機は日本製を選択した方が無難かもしれませんね。将来的には好みによって様々な選択肢が広がるとは思いますが・・・
「技術適合証明」付きの送信機を選びましょう
日本でドローンを飛ばすのならば電波法に適合し技術適合証明をとっている製品を選択しなければなりません。送信機、または送信モジュールに「技適マーク」が貼られているかどうかを購入前に必ず確認しましょう。
海外製送信機については良い製品がたくさんあるのですが、日本の電波法に適合していないものもあります。徐々に海外メーカーも意識するようになてってきて、日本の技適をクリアしている製品もちゃんとありますので確認しましょう。
もし日本製を選ぶ場合はフタバ社が有名です。ドローンレースに出ている本格的なレーサーもフタバ社製の送信機を使っている率は比較的高いのではないでしょうか。
送信機は用途ごとに分類されている
メーカーのホームページをみると送信機の種類はとても多く、最初のうちは何が何だかわからないかもしれません。大きな分類としてはラジコンカー用なのか、ヘリコプターやドローンなどの空用なのかに分かれています。
ドローンなので空用を選ぶことになりますが、更に飛行機用とヘリコプター用に分類されていることもあります。ドローンの場合はヘリコプター用、またはメーカー側の分類によってはマルチコプター用となっているものを選びましょう。
送信機のチャンネル数
チャンネル数とは送信機が命令できる操作数です。送信機はふたつのスティックを前後左右に動かしながらドローンを操作します。各スティックを前後左右に操作するため、最低で4チャネル使用します。そのほかモーターのロック解除、飛行モードの選択、LEDを点灯させるスイッチなどの設定に応じてチャネルを使っていきます。
ドローン操作ではチャネルがいくつ必要なのでしょうか?
経験や好みによっても異なるけど、最低8チャンネル程度は必要でしょう。お財布に少し余裕があれば10チャネル以上の送信機を購入してもいいですね。それ以上のチャネル数を扱える送信機もあるけど高額なものになってしまいます。8から10チャンネルあれば大丈夫ですよ。
お勧めの送信機はありますか?
10チャネル用ならフタバT10Jという機種がお勧めだよ。
海外製であれば安価でチャネル数が多いものもあるけど、設定やファームウエアのアップデート、受信機とのバインドで比較的高いスキルが必要となる場合が多く、独力で始めようとする人には少しハードルが高いかもしれません。
送信機の操作モード
送信機の操作にはモード1 とモード2 があります(詳しくはこちらの記事をご参照ください)。
日本ではモード1で操縦する人が多いということも聞きます。ラジコンカーの送信機は今でこそホイラータイプが主流ですが、昔はラジコンカーもドローン用と同じスティックタイプの送信機で操作していました。その流れで送信機の右のレバーでスロットル、左でステアリングという操作が主流となり現在に至ったのではないかと想像します。
海外では圧倒的にモード2 によるドローン操作が主流です。理由として実機のヘリコプターと同じような操作だからです。操縦桿と同じように、右のレバーを引き上げれば機首が上向きとなり、前に倒せば機首が下に向く。左右に倒せば機体も左右に傾き、その方向に機体が流れていく。前後左右は右レバーのみで操作できますね。
例えば、斜め右前や斜めヒダリ手前といった複合操作は右レバーだけで行うことができます。左のレバーは、実機の足で操作するペダルのごとく機首を左右に向け方向を変えます。また、左のレバーを上下することで機体が上昇下降します。このように操作感が自然で直感的というのが、モード2が選ばれる理由だと思われます。
送信機の選定ポイント
- 送信機が命令できる操作数はチャンネル数により決まる
- 送信機のスティック操作に4 チャンネル占有される
- 各種モード切替、機体墜落時のブザー鳴動等々、用途に応じたチャンネル数が必要
- 8チャンネル以上を目安に送信機を選定する
- 操作が直感的であるモード2がお勧め
送信機-受信機間の無線規格
ドローンは送信機からの信号を受信機がキャッチし飛行します。この送信機と受信機の間の通信には、いくつかの方式が存在します。
自分の送信機がどのような通信方式になるのかを確認して、それに応じた受信機を選択しないとドローンは動作しません。例えばフタバ社の送信機は、製品ごとに通信方式が複数あります。他社製品についてもそれぞれに通信方式が存在します。そして各通信規格はスペクトラム拡散方式に基づいたものです(スペクトラム拡散方式についてはこちらの記事をご参照ください)。
この無線の規格となる通信方式を確認しておかないと、それにあった受信機を選定できなくなってしまいます。
送信機に合わせた受信機選定ポイント
次は受信機の選定について説明します。受信機はドローンの機体ごとに取り付けます。ドローンが複数あっても1台で用が足りる送信機を最初に選定し、受信機は送信機にあったものを選びます。受信機を選定する際は、送信機との間の通信方式を確認し、それに適合するものを選びます。
そして、同時にフライトコントローラーの接続性に問題ないかも確認します。受信機にはフライトコントローラーとの信号のやり取りを行うためにS.BUSなどの規格があります。
RSSI(受信信号強度)
RSSIとは受信機が送信機からどれだけの強度で信号を受け取っているかを表す数値です。例えばドローンが遠くまで飛んでいけば、送信機との距離が離れてしまえばRSSIの数値が小さくなります。この数値はFPVゴーグルに表示できるので飛行操作中に確認可能です。
RSSIは大切な機能です。なぜならば、送信機からの操作信号が途絶えてしまえばドローンは操縦不可能となり落下してしまいます。機体をロストするだけではなく、人や物に危害を与えることにもつながります。
受信機選定ポイント
- 送信機の通信方式を確認し、それに適合する受信機を選択(FASST / S-FHSS / T-FHSS / ACCESS など)
- 受信機-フライトコントローラー間の通信方式を確認する(S.BUS / iBus / Spektrum / Crossfire / PPM / PWM など)
- チャンネル数(送信機が10チャンネルあったとしても受信機自体がは8チャンネルに制限されることがある)
- RSSIに対応しているか
動画でも詳しく説明しています
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ドローン自作に関することは、「ドローン製作 ベータフライト設定 完全ガイド」でも詳しく解説しています!
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